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あの曲がり角から百合の家まで1本道だったから当然その道を通って帰る。
そこにはまだあいつらがいるわけで……
「おい、ちょっと待てよ」
やっぱり声を掛けられた。
「何か用?」
「お前、小山の彼氏か?」
今日は何かとこれが出てくるな。一々否定するのも面倒になってきた。
「別にそんなんじゃねぇよ」
「じゃあ何だ?」
「……友達だ」
たぶんこいつは百合の中学の同級生だろう。
ただ、同じ赤髪でも大輝とは違い、ヤな感じの奴だ。
「あいつ、昔何やったか知ってるか?」
百合の過去? そんなのどうせ今と変わらないだろ……
「知らね。悪いけど急ぐから」
「教えてやるよ。あいつはな……」
「じゃあな」
俺はそれを聞かずに曲がり角を曲がって歩き出した。
百合が昔どうしたかなんて関係ない。
ただ、百合は俺の友達。それだけだ。
しばらく歩き、俺は静かなひまわり園の前で立ち止まった。
「関係ないも何も、俺だって百合に隠し事してるしな」
百合に昔何があって何を隠していようが、俺にはそれを怒る権利なんて無い。もちろん、そんな権利あっても使うつもりは無いが。
「お、駿じゃねぇか」
その声で振り返ると、再び赤い髪が目に入った。今回は良い奴の方だ。
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