4.向日葵

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  「何してるんだ? こんな時間に」 「百合が家にいてさ、送ってった所。大輝こそ何やってんだ?」 「こっちにしかコンビニねぇんだよ」  大輝はそう言ってビニール袋を見せた。そして視線を横の施設に移す。 「孤児院か……ここに何かあるのか?」 「いや、別に。ただ、自分の子供を捨てる親ってどんな奴なんだろうなって……」  俺はそう言って事実を隠した。 「さぁな。滅多な理由がなければそんな事しないと思うが……」 「……だよな」  でも、最近はここに来る子供は増えている。全部が全部そんな理由があるとは思えないな。 「殺さねぇだけマシだ」 「……確かにな。最近は自分の子供殺すやつもいるしな」  確かにそういうニュースも増えてきた。そういう奴は本当に何を考えてるんだか。  そういう奴は……自分の子供をどんな風に見てるんだろう。少なくとも、説明されても理解はできなさそうだ。  それからは特に話す事はなく、俺の家まで来た。 「じゃあ明日な」 「……なぁ駿?」 「何だ?」 「中野や百合は気付いてないみたいだが、お前、何か俺達に隠してるだろ?」 「え?」  俺の反応を見た大輝は「やっぱりな」と赤髪を掻きながら呟いた。 「別に話せとは言わねぇよ。ただ、俺達に話して俺達がその支えになれるなら、話してほしい」 「そっか……悪いな。大輝達を信頼してないわけじゃないんだけど、ちょっと話せない」 「わかった。変な事言って悪かったな」 「いや、ありがとな。いつか話せる時がきたら聞いてくれ」  大輝は「あぁ」と頷いて歩いていった。  もしかしたら大輝はもう感づいてるのかもな……たぶん、敢えて俺の口から聞こうとしてるんだろう。  俺はそんな事を思いながら家に入っていった。  
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