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生まれてから二六年、
教師になって四年。
初めて担任として卒業生を送り出す年…
厄介ないざこざに捲き込まれる事をさけて生きてきた。
そういう男だった。俺は。
「勝負?」
「うん。勝負。」
どっからどうなってそれに繋がったんだ?
何を勝負するつもりだ?
きっと、眉間にシワをよせている姿をあちらから見てだいたい察しがついたのだろう。
笹神は俺の白衣の袖を引っ張って、自分の席に座らせた。
教卓の前―
いつもの逆だな…
斜め上から笹神の声
いつもいつも、まっすぐに俺を見ていたのにはそんな気持ちが働いていたのかと思うと、すこし面映ゆいと言うか…
「勝負は簡単です。明日から私は先生に“好き”って言います。」
「明日から!?」
「そう。明日から。毎日。」
「毎日!?」
何を言ってるんだ?
毎日?
ラジオ体操みたいなノリで、押し売りしていいもんじゃないだろ?
「そうだな…私が好きを嘘でしか言えなくになったら、私の負け。」
いや。今の時点ですっごく嘘っぽいけどな……
お前の好きは…
「先生が私を好きになったら私の勝ち。」
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