友達

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高速を降りて町を過ぎ、緑豊かな山間を抜けると、小さな町がある。 田舎なのだが、開発し損ねたリゾート地のようで妙にさっぱりとした綺麗な町だ。 更に山に続く道を走ると、道路脇に看板が出てくる。 「ペンション『芙蓉館』この先左 」 自然の中の隠れ家とか何とか謳い文句を付けられて雑誌に紹介されたこともある。 今向かっているのがその宿だ。 青い空に薄手のヴェールが覆う生憎の空模様だったが、後部座席に座る二人の客には関係ない様子だ。 「すごーい!!自然がいっぱい」 「森が緑色だね~」 何をもって自然を表し沢山なのだろうか。緑じゃない森はそんなにないだろう。 訂正してやりたい気持ちを抑えてひたすら目的地に向かい車を走らせる。
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