非日常へ

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吐く息が白い。 少しでも寒さを和らげるために悴む手をこすり合わせながら、私は家路を急いだ。 この時期は日が沈むのが早いから、学校が終わった頃にはすでに日が沈みかかり、気温はどんどん下がる。 手袋を教室に忘れたことに昇降口で気づいたけど、もう一度階段を上るのが億劫で取りに戻らなかった。 …今はすごく後悔してる。 風が吹き抜け、セーラー服のスカートの裾をはためかせる。 その冷たさに、ぶるりと身震いをした。 今日は一段と冷える。 今朝テレビでやっていた天気予報を思い出しながら、コンビニの裏にあるフェンスの穴をくぐった。 家に帰る近道。 人通りが少ないから、何だか不気味で普段はあまり使わない道だ。 でも、ここを使うのと使わないのでは、時間にして少なくとも10分は帰宅時間が違う。 一刻も早く寒さから逃れたくて、私は迷わずに近道を使うことを選んだ。
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