箱庭の鳥

非日常へ

アパートの階段を駆け上がる。

自宅のドアの前まで着くとポケットから鍵を取り出して中に入る。

居間にある箪笥からタオル数枚を取り出して自室に向かい、鞄を放り投げる。

電気暖房の前に、持ってきたタオルを敷いてその上にカラスを寝かせてやった。

暴れないことを確認して頷き、救急箱を取りに再び居間へと向かう。

救急箱なんて普段使うこともないから、どこにあるかなんておぼえてない。

いくつか思い当たるところを探していると、棚の上に赤い十字が書かれた木箱を見つけた。

それを手に取り埃を払い蓋を開ける。

中に消毒液や絆創膏、包帯などがしっかりと詰まっているのを確認すると、木箱を抱えてまた自室に向かった。