17人が本棚に入れています
本棚に追加
横目で首筋を確認すると、そこには鋭利なものが当てられていた。
夕日を受けて赤く光を反射している。
ぞくりと、恐怖で肌が泡立つ。
強盗、だろうか。
今朝ニュースで流れていた強盗殺人事件が、ふと頭をよぎる。
被害者は自宅で一人で いたところを襲われ、金を奪われ殺害されたらしい。
明日ニュースには、被害者として自分の名前が全国に放送される。
そんな嫌な想像が頭に浮かんだ。
無理無理。絶対いや。
ばくばくと心臓が悲鳴を挙げる。
「お前…」
男が口を開く。
大げさなくらい、私の肩が跳ねる。
金を出せとか、通帳はどこだとか言われるのだろうか。
生唾を飲む音が、やけにハッキリと聞こえた。
しかし、次に彼が発した言葉は私にとって予想外のものだった。
「お前は誰だ?」
「…え?」
最初のコメントを投稿しよう!