一因:不安の行く先

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「あの人に気に入られたい」 そのためにももっと可愛いくもっと可愛いく… 理由はどうあれ大抵の女性は 自分自身に自信をつけるために粧をほどこしている。 狭山 マユ(さやま まゆ)は中小企業で働く、所謂(いわゆる)OLである。 20歳で入社してから7年が経とうとしている。 「狭山せんぱぁい?今日ぉお昼どうするんですかぁ??」 鼻にかかった甘ったるい声で声をかけてきたこの女、今年入社してきた七瀬 ハツネ(ななせ はつね)。 明るめの茶色い長い髪を巻いて化粧ばっちり更に私よりも6歳も若い 同僚の男性陣はその若さに弱い。 「あぁ、私はパン買ってきてるから」 自然と笑顔で返事をする私。勿論、営業スマイルである。 私の返事を聞くとハツネは満面の笑みになって 「そうなんですかぁ?私ぃ三上さんと食事の約束しちゃったんですよぉ~もう嬉しくて嬉しくてぇ」 はいはい、はいはいはいはい。 きたよ、いつもの自慢話。 だけどここでキレては悔しい 私は冷静に 「よかったわね、楽しんできてね」 と答えた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!