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「‥私の主人がドナーになり角膜を提供したのも6年前の6月17日でした。確かなことは言えませんが‥もしも‥‥あなたの‥‥その‥瞳が‥‥主人の‥‥ものだったなら‥‥」
「まさか‥‥嘘みたいだ‥‥でも、そうだとしたらクッキーの行動も理解出来る。そう思いませんか?」
彼はそう言いながらクッキーを抱く私の傍へ来て膝をついた。
「クッキー‥‥お前良く見付けてくれたな‥グッド‥偉いぞ。」
彼もまたうっすらと涙を浮かべている。
また逢えたね。慎さん‥。
「ずっとお礼を言いたかった。だけど、ドナーサイドと直接連絡を取る事なんか許されていなくて‥あなたのご主人の瞳が闇しか知らなかった僕に光を与えてくれた‥‥本当に‥本当にありがとうございました!!」
何も言葉が出て来ない。
鼻水と涙でグシャグシャの私に安田さんが自分も鼻をかみながら箱ごとティッシュを渡して来た。
慎さんはこうして生きている!私の記憶の中と、こうして助けられた命の中で‥
だから淋しく無いよ、生きて行けるよ。
あなたを想いながら‥‥ずっと。
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