淡い気持ち

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「理想はそうよね‥。私達には子供がいなかったから‥彼もそれでもいいと思ってるって信じてたの。納得していたはずなのよ。結局‥彼は今になってそうゆう暮らしがしたくなっちゃったのよ。ずるい男‥まぁ‥ね。夢見る少女の莉子ちゃんには想像つかないだろうけど。」 「そんな‥。私も一応大人ですからわかりますよ‥。旦那様酷いです。」 「元、旦那ね!」 平井さんは特に元を強調して吐き捨てるように言った。 さっきまでの浮かれた想像が一気に掻き消えるような平井さんの話に、ちょっとだけ気持ちが沈みながら、お花屋さんが置いて行った名刺を改めて見詰めた。 彼は一体どんな男性なんだろう。 まだ来ない明日へ 期待や不安、そして好きな気持ちが大きく膨らんだ‥そんな今日という日だった。
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