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プロペラ音が機内に響く。
「で、相棒、首尾は?」
僕はポケットからハンカチを取り出し、そっと開くとサファイアが覗いた。
「オールグリーンさ。」
「ところでいつも思うんだが、あの演出は本当に必要なのか?」
「当たり前だろ、頂くお宝と同等のパフォーマンスをくれてやらにゃ、彼等にあまりにも失礼だろ。」
さも当然の様に語ると彼はダンボールの隅に残った紙吹雪の残りを摘まみ、ヘリの小窓から外へ流した。
「同等か?」と溢しかけたが上手く抑えた。
サファイアを改めてまじまじと見る。
月明かりと町灯りを取り込んで、これもまた妖艶な輝きを放っていた。
椅子下から小さなケースを取り出し開く。
そこには7つの窪みがあり、既に6つ埋まっていた。
最後の窪みに今日の労働の証を嵌め込んだ。
やっと一仕事終えた達成感に充たされる。深い溜め息の後、そっと蓋を閉じた。
窓下を眺めると、住み馴染んでいたロンドンの街並みが流れていく。
夜の灯りが石造りの家々を優しく撫でていた。
もうパトカーのサイレンは聞こえないな、完全に巻いたみたいだ。
どっと睡魔が襲ってきた。
アジトに戻るまで、少し寝るとしよう。
メガネを外し、胸ポケットに入れた。
運転席に座る白髪の老人が小さく呟いた。
"Mission complete"
prorogue clear_
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