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お仕事
たった今、私の目の前にいるこいつらは、どうやら妖怪らしい。
しかも、スペルカードルールを知らないようなので、どうやら外来種のようだ。
「なんなんだテメェ……俺達が怖くねぇのか?」
「えぇ、残念ですが。既に知っている生物には恐怖を覚えるのは難しいですね」
彼らはレッドキャップ。
冒険者達を襲う荒廃した建物に住まう妖怪……というか幻想種であるのだが、どうやら外の世界から忘れられてしまったらしい。
幻想になる前の私が知っているあたり皮肉な話だが。
「ここにはルールがあり、この建物には所有者がいる。危害は加えませんから出ていってくれませんか?」
「ア?所有者だァ?俺達レッドキャップは誰も住んでない場所に住むのが基本だろ?」
レッドキャップの一人が首を傾げ
「だったらここにいる奴を全員殺しちまえばここは俺達のもんだってことだろぉがァ!」
この一言を皮きりに、全レッドキャップが一斉に不愉快な声でケタケタと笑い始めた。
「テメェみたいな人間はいままで何度もこの帽子を染め上げるための材料にしてきた!テメェも例外にはならねぇ、やっちまえ!」
金切り声で騒ぐレッドキャップ達に、苦笑とともにため息を吐く。
まったく今日は客が多い、と。
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