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「まったく救われない頭みたいですねぇ……勿体ない」
「知らねぇなぁ!」
一匹の振りかざした斧がインドラの脳天に直撃する。
斧が食い込み、割れた部分からは黒い液体が吹きこぼれる。
「ヤッハー!カチ割ってやったぜぇ、ざまあみろってんだ!」
「フヒヒ、何が救われないだ!てめぇの頭の方がよっぽど救われてねぇんだろーが!」
「まったく……本当に救われねぇなおまえらは」
「ん?どうしたもう一人の俺?」
確かに目の前に倒れている人間は頭が割れており、その側に立っている俺達のうちの一人はケタケタと笑っている。
もう一人はやけに静かに斧を担いでいた。
「いやな?どうにも可笑しくて」
そう言った一匹は、側に居た一匹を斧でバラバラにした。
「ばっ……テメェ何しやがる!?」
激昂した一匹がレッドキャップを切り刻んだ一匹に飛び掛かる。
「まずは二匹……キヒヒ」
飛び掛かった一匹も、不自然に飛ぶ斧の軌道上に乗り、その身体を肉塊に変えた。
数分後、残す一匹以外は辺りに散らばって紅い館の一部となった。
「十二匹……キヒヒ」
「あ、あああぁぁ!?」
「貴様ら能力の低い者を救済するために作られたルール……それを無視した者には残された希望も生命も有りはしない」
「ぐぇあっ!?」
斧の一振りで上半身と下半身が二つに分かれる。
たまらず悲鳴を上げるが、斧を持ったレッドキャップ……奴が近づいてくる。
「さぁ終わりですよ、キヒヒ……後は私の身体の中で永久の魂を得、足りない頭で考えるがいい」
身体をバラバラに切り刻まれ、レッドキャップは斧を持った一人だけになる。
その一人は、倒れた執事の近くに寄ると、執事の身体が起き上がり形の無くなった頭にレッドキャップが飛び乗る。
「まったく……くだらない茶番もこれくらいにしてほしいものですが……たまにはいいですかね」
溜め息を吐きながら、背筋を伸ばした執事は顔をぺちぺち叩く。
「さて、掃除掃除」
今日も執事の仕事は終わらない。
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