不良娘の憂鬱

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ーーーー放課後。 「竜ーーーーー!」 ホームルームが終わるなり恵が教室に飛び込んできた。 不良として有名な恵に対して他の生徒たちは完全にビビっている。 そしてその不良と仲良くしている生徒会副会長である俺に向けられる視線が痛い。 「なぁ、恵」 「なんだよ!早く行くぞ!生徒会も今日は何もないんだろ!」 「まぁ軽い雑務があるが・・・昼に約束したとおり会長がやってくれるからな。そんなことよりもだ」 「だからなんだよ!」 やたらそわそわして興奮気味の恵。 犬を俺が引き取ることになってすごい嬉しいのだろう。 可愛い奴め。 まぁそこはおいといてだ。 「恵、少しは周りの目も気にしろ。みんな怖がってるじゃないか。俺のことも含めて」 「知るかっ!とにかく早く行くぞ!」 恵は俺の腕を引っ張り強引に教室の外へ連れ出した。 そのまま玄関まで引っ張られ靴をはき、行く先はもちろん犬のとこだ。 「アロ~!良いこにしてたか!お前の飼い手が見つかったからな!」 「わん!」 アロと呼ばれるその犬は恵の言葉を理解したかのように嬉しそうに吠えた。
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