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「・・・。」
黒ウサギが顔をしかめてそっぽを向いた。
「あなたは短気な上に、素直じゃないですね。」
白ウサギがのんびりと窓の外を見た。雲一つない、綺麗に晴れた冬空が広がっている。
しばらく経って、黒ウサギが急に呟いた。
「僕は叔父さんのように、きちんとした執事になれるのでしょうか?」
白ウサギは驚いたような顔をしたが、こう言った。
「なれませんよ。」
あんまりにもずっぱりと言われてもしまい、黒ウサギはショックを受けたような顔をした。白ウサギがちらっと黒ウサギを見て、続けた。
「あなたは私にはなれません。あなたはあなたです。
確かに、お手本とかにするのは良いですが、あまり私を目指し過ぎるのは良くありませんよ。
あなたは、あなたのなりたい人になりなさい。」
黒ウサギは俯いていたが、また何か呟いた。
ありがとうと聞こえた気がした。
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