第一章

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「せいっ!」 突如桜並木のど真ん中で後ろから空手チョップを食らった。 「ぐぁあっ頭がっ!」 ワックスで手入れした髪が おかげでくしゃっとなってしまった。 そんな俺を裂けさせようとしたのは 小さい頃からの親友、かつ、同じ高校に繰り上がって来た 岡田 雄太[オカダユウタ]だ。 ずっと俺は彼にちょっかいを出されっぱなしで、いつ頭が裂けるか分からない状態になってきた。 最初はもうチョップなんかされるものかと、自信満々に完全防御宣言を誓ってはいたが もう俺にそんな気力はない。 なぜなら、彼は必ずしないだろうというときにするからだ。 しかししないだろうなという場面の裏をかいて体制を整えた時もあったが、その時にはなぜかも頭にクェスチョンマークでも浮かべるような表情をしているにもかかわらず、体制を戻した瞬間には手加減のないチョップを俺に降り注ぐ。 そんな奴だ。 根が悪いと言われたら全然そうでない、むしろいい奴で 会話をするといつものように元気よく話してくれて どんなときも一緒にいてくれる優しい奴だ。 今のところは割れなかった俺の頭に感謝でもしよう。 いつまでも耐えていてくれ。 そんな事を考えていると 「早く行かないと遅刻するよー?」 「遅刻する…って今まだ朝7時50分だけど…」 「いや、そういった方がなんか思ったより早く着いた感じがして得した気分になるでしょ♪」 「逆に気持ちが慌てて嫌だよ!」
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