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「うわああああああああああ!!」
俺は隣人への迷惑も考えず、叫びながら上半身をベッドから起こした。
なんだかとても嫌な夢を見ていた気がするぜ……
「んぅ……」
俺の悲鳴に連られ、雛ちゃんも起きたらしい。
相変わらず眠そうに猫みたいに瞼をこすっている。ぐうかわ。
時間は何時だろうか。携帯を開くと液晶の画面には『11:27』と写し出されていた。
結構な時間寝ていたな。もうお昼時じゃないか。
とは言ったものの、俺の腹はまださっき朝食を食べたばかりと認知している具合で、昼食は抜きでも構わんようだ。
そして対する雛ちゃんは、
「おなかへったー」
インなんとかさんが再ログインしました。
「雛ちゃんは食いしん坊さんだなー」
まあ可愛いからいいけど。
「む、女の子に向かって食いしん坊は失礼だよお」
「あ、ごめんごめん」
「もー、仕方ないなー」
愛想笑いで適当にあしらえたのはいいけど、これからどうしようか。
「じゃあ雛ちゃんはお昼、何が食べたい?」
「んー、んーと……」
目を閉じ、人差し指で自分のほっぺをつっつきながらお悩み中。
「あっ」
人差し指の動きが止まり、閉じた目が一気に見開かれる。
「ぱふぇがいい」
果たしてそれは昼食なのだろうか?
てかこのクソ寒い冬にパフェだと……?
まあ子供は風邪の子というが……
「雛ちゃん、せっかくなんだしもっと栄養の――」
「ぱふぇがいい」
まあ雛ちゃんにとってはデザートだってご飯ということか。
「だけどこんな寒い日にパフェなんて食べたらお腹壊しちゃ――」
「ぱふぇがいい」
「……」
もはや付け入る隙もなかった。
だがパフェとなると……街まで出ることになるな。
街なんて用が無い限り出かける事もないし、いい機会だろう。
「よし、じゃ、食べに行くかパフェ」
「うん!」
今日一番の元気な返事が返ってきた。
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