そうだ街に出よう

2/10
前へ
/24ページ
次へ
「うわああああああああああ!!」 俺は隣人への迷惑も考えず、叫びながら上半身をベッドから起こした。 なんだかとても嫌な夢を見ていた気がするぜ…… 「んぅ……」 俺の悲鳴に連られ、雛ちゃんも起きたらしい。 相変わらず眠そうに猫みたいに瞼をこすっている。ぐうかわ。 時間は何時だろうか。携帯を開くと液晶の画面には『11:27』と写し出されていた。 結構な時間寝ていたな。もうお昼時じゃないか。 とは言ったものの、俺の腹はまださっき朝食を食べたばかりと認知している具合で、昼食は抜きでも構わんようだ。 そして対する雛ちゃんは、 「おなかへったー」 インなんとかさんが再ログインしました。 「雛ちゃんは食いしん坊さんだなー」 まあ可愛いからいいけど。 「む、女の子に向かって食いしん坊は失礼だよお」 「あ、ごめんごめん」 「もー、仕方ないなー」 愛想笑いで適当にあしらえたのはいいけど、これからどうしようか。 「じゃあ雛ちゃんはお昼、何が食べたい?」 「んー、んーと……」 目を閉じ、人差し指で自分のほっぺをつっつきながらお悩み中。 「あっ」 人差し指の動きが止まり、閉じた目が一気に見開かれる。 「ぱふぇがいい」 果たしてそれは昼食なのだろうか? てかこのクソ寒い冬にパフェだと……? まあ子供は風邪の子というが…… 「雛ちゃん、せっかくなんだしもっと栄養の――」 「ぱふぇがいい」 まあ雛ちゃんにとってはデザートだってご飯ということか。 「だけどこんな寒い日にパフェなんて食べたらお腹壊しちゃ――」 「ぱふぇがいい」 「……」 もはや付け入る隙もなかった。 だがパフェとなると……街まで出ることになるな。 街なんて用が無い限り出かける事もないし、いい機会だろう。 「よし、じゃ、食べに行くかパフェ」 「うん!」 今日一番の元気な返事が返ってきた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加