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パフェが来るまでの間しばらく暇だったので、何かしら雛ちゃんと話せる話題はないかと考えていた所、ふと疑問につくことがあった。というか普通に考えれば今更な疑問だ。
「雛ちゃん?」
「んー、なに?」
見知らぬ外の風景に好奇の目で眺めていた雛ちゃんの視線をこっちに向ける。
「今更なんだけど、雛ちゃんどうやって俺の部屋に入って来れたの? 鍵はきちんと閉めてたはずなんだけど……」
俺が考えられるのは、
常駐の警備員さんから合鍵を借りた。
大家さんにマスターキーを借りた。
どっちも変わらんようなものだが、まともに考えてこのくらいしか出てこない。
「えーっと、それはねぇ――」
雛ちゃんは拙い言葉を組みあわせながら、昨日の夜のことを喋り出した。
今からおおよそ半日前、あと三十分もすれば次の日という頃、とあるマンションの前に二つの人影があった。
シルエットからして一人は大人の女、もう一人は小さな子供。
親子、だろうか。そうでなければ子供さらいか。
しかし、どうやら後者ではないようだ。子供は女と手を繋ぎ、寄り添うようにして歩いている。よく懐いている証拠だ。
「チッ、すっかり暗くなっちまった……」
おおよそとは女性とは思えない口調でそんなことを口にする女。
「これ以上遅くなると迷惑かかるし、とっとと行くよ雛」
「はーい、ママ」
雛と呼ばれた少女は女の呼びかけに答える。
マンションの中に入ると蛍光灯に照らされ、女の容貌がはっきりと見て取れた。
焦げた赤い髪のセミロングに切れ長の目。少し機嫌が悪いのか眼光が鋭い。
年は二十五から二十八までの間くらいか。
胸は控えめだが、それでも後のツーサイズで勝負が出来きそうなスタイルを持っている。
女はそのまま少女を連れてエレベーターに乗り込み、『4』と印されたボタンを押した。
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