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冬、けだるい感覚と共に朝が来たのだと認識する。
開ききっていない目を擦りながら、枕元に置いてあるはずのリモコンを手探りする。すぐにプラスチックの硬い感触を掴むと、それを上手い具合に手で取り、ブラインドタッチの要領で『入』のボタンを押した。
すぐに、ガスコンロで火を点ける時の小気味のいい音が鳴り響き、くぐもった空気の小さな爆発のような音が聞こえた後、近くのストーブから暖気が流れ出した。
冬の朝は冷える。俺は決して朝に弱くはない。むしろ、強いほうだと言える。
しかし、将来の夢は? と聞かれたら、『冬の来ない常夏の島国で一生暮らす』と答えるほどに俺は冬の寒さが苦手なのである。
故に朝起きて十分はストーブで部屋を暖めてからでないと、布団を出られぬ。
こうしている間にも、外気に晒されている顔や腕の寒さに身もだえそうになる。
俺は寒さに負け、布団に包まることを決め込むと、腕と頭をすっぽり隠すようにして身体全体を布団の中に包み込んだ。
だが、俺はそこである異変に気が付いた。
中に入れていた腕に、何か当たっている。
そんなもん何か当たってって普通だろ、と思われてしまうだろうが違うのだ。
なんかこう、プニプニというかモニュモニュしたものが当たっている。しかもたまに動いたりする。
少し弄ってみる。すると謎のプニプニは、少し俺の腕から離れるようにして逃げた。
なんだこれは。生きているのだろうか。
とにかく、このままの状態でいられるほど俺の神経はぶっとくない。
恐怖感と戦いながらも、この布団の中にいる未確認生命物体と対峙する決意をした俺は、思い切って布団を剥いだ。
最初に五感で感じ取ったのは寒さ。
死ぬほど寒い。謎の未確認生命体のことばかりを気にかけていたせいで、自分が寒さに苦手だということを忘れてしまっていた。
もう俺氏ねよ。百万回氏ね。
そして次に変化を感じたのは目。つまり視界の変化だ。
布団を剥いだそこには――
幼女がいた。
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