どうしてこうなった

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もう俺は寒さも忘れてその幼女に釘付けになっていた。あ、別に変な意味じゃない。 年齢にして六、七歳だろうか。ワンピースが似合いそうな身体は、一メートルを少し越えた辺りの大きさ。 襟首で切り揃えたショートカットで、ほんの少し茶色みがかかっている。 うむ、どこからどう見ようとも紛うことなき幼女である。 「――――」 俺は限界突破して煙吹くんじゃないかと思う程の勢いで脳内に検索をかける。 だが―― 見当たらない。まったく身に覚えがないのだ。 昨日は普通に大学行って帰って、ご飯食べて、風呂入って、残っていたレポート終わらせて、寝たのはおおよそ十一時を廻ったぐらい。 その間何も変な事なんて起きていないし、俺は何もしていない。 しかし現に朝起きてみるとコレだ。 いくら俺が何もしていないと言ったところで、傍から見た人が見れば俺は立派な犯罪者にしか見えないだろう。 俺だってもし他人の立場なら同じ事を思うはずだ。 故に、緊急事態である。これは俺のこの先の将来を左右すると見てもいい一大事だ。 とにかく何か解決策を探さなければ…… 少ししたところで、俺は二つの打開策を思い付いた。 とりあえずその一つを実行してみる。 俺は布団を元に戻し、頭を枕に起き、そっと目をつむる。 そうして頭の中で三回こう念じた。 どうかこれが夢でありますようにどうかこれが夢でありますようにどうかこれが夢でありますように。 目を開き、心機一転した面持ちで俺は再び布団をガバっとめくる。 案の定そこには幼女がいた。 「……」 よし次だ。 さっきのはきっと作戦に題名を付けなかったのがいけなかったのだ。 ということで、今度はちゃんと題名をつけてみることにする。 題して、 『これは俺の妄想なんじゃね?大作戦』 よし完璧だ。これなら勝つる。 早速、作戦を実行に移す。 俺は人差し指だけを突き出した手の形を作り、そっと幼女のほうに近付ける。 そしてそのまま頬を一突き。ぷにっとした感触とともに体温を感じる。 ……どうやら俺の妄想は体温まで再現してしまうらしい。凄いな俺の妄想。 そのまま、 消え去れ俺の妄想! と念じながら数回ぷにぷにしてみるが(案外楽しいのは内緒)、一向にその兆しが現れることはない。 畜生、どうなってやがる。
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