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「あ?」
彼が手を止め、ぼくの頭の上の方を見上げる。
同時に、スタッとぼくの隣に誰かが降りてきた気配がした。
「げっ」
彼の視線がそちらに流れる。
知っている人だったのだろうか、彼の顔がマズイと言った風に歪んだ。
「てめっ、鳳(おおとり)……なんでお前が」
「いつも昼飯はこの上で食べる事にしてるんだよ。ここなら静かに食べれるからな」
今のうちに彼の手を払い、横の人を見る。
聖凛学園の黒い男子の制服━━まあ、これは当然か。
身体は細身で身長は高い。いや、僕から見たら高く見えるだけで男子なら平均位かな?
顔付きは端正で凛々しく、でも何処か不機嫌な雰囲気を持っている。
正直、かなり格好良い人だと思う。女顔で背も低いぼくとは大違いだ。
「ちっ、面倒臭ぇな……」
「で、なんでお前はこんな人気の少ない屋上で嫌がってる女子に手ぇ出してんだ? 盛るのは勝手だがよ、俺の居ない所でやれよ」
オオトリと呼ばれた彼がそう言って彼を軽く睨む。
「あ~……わぁったわぁった。戻りゃ良いんだろ、戻りゃ。ったくよぉ」
そう言われた彼は意外にもあっさり折れ、ぼく達に背を向けて大人しく屋上から去っていった。
ふう……助かった……。
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