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「えと、あの……」
「いや~、そんな風に戸惑ってる姿も可愛いねぇ。まるでリスみたいな小動物みたい。マジ好み」
彼が恐い。
昔から「女みたい」と言われてこんな風に絡まれる事は何度もあったけど、その時に感じる刃物的な怖さじゃない。全身をくまなく舐められているような……そんな恐怖と不快感がある。
今までに感じた事のない類いのものだ。
「あ、あの、なにか用でもあるんですか……?」
彼から感じる恐怖と不快感を無理矢理に抑え込み、震える口からなんとかそれだけの言葉を紡ぐ。
言葉の最後の方は掠れてしまったが、この距離なら問題無く聞こえているはずだ。
「いやさ、俺と付き合わない? ずっと君みたいな子と付き合いたいって思ってたんだよね」
付き合う?
一体何に付き合うって言うんだろうか?
訳が分からず、とりあえず彼から離れようと動いてみるが抑え付けられていてそれは無駄に終わった。
「あっれ~、もしかして意味通じてない? 付き合うってあれだよ? 男と女。彼氏彼女の関係にならないかって俺は言ってるんだけど 」
「えっ」
えぇ!?
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