一時間目・奇妙な2人

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彼は何を言ってるんだ!? 彼は男でぼくも男だよ!? 彼はそれを理解して━━ 「あ」 彼から視線を逸らした瞬間、ぼくの膝元で揺れるスカートが目に入った。 それで思い出した。 そうだ、ぼくは今“女の子”だったんだ! 「理解した? んで、返事は」 いや、でもそれでもぼくは男だよ? そんなぼくに告白するなんて絶対におかしい! 「そ、それは……」 ふざけるな! ぼくは男だぞ! 男が男と付き合えるか!! そう叫びたかったが、そう言う訳にもいかず答えを言い淀んでしまう。 キッパリと嫌です、と断るのが一番だとは判ってはいるんだけど、それを中々口に出せない。 「……返事は無し、か。それはイエスと受け取るけど良いよね?」 そう言って、彼の手が突然ぼくの足に向かって伸びてくる。 軽く膝に触れ、そのままゆっくりとスカートをめくりながら太ももを撫でてくる。 「ひっ」 えもいわれぬ不快感に息が詰まる。 ヤダッ、気持ち悪い……!! 「おい。いい加減、止めてやれよ」 そんな時不意に、僕の頭上から良く通る綺麗な声が降ってきた。
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