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「痛ぅ……」
ぼくが鳳さんを押し倒す形で床に倒れ込んでしまった。
ぼくに痛みはないけど、ぼくの下敷きになる形で床に背中を打ち付けた鳳さんはかなり痛そうにしている。
ってぇ!?
「あ、あああすいません!! 直ぐにどきます!」
それに気付いたぼくは鳳さんの上から退こうと床に手を付いて━━
むにゅ。
……むにゅ?
「っっッ!?」
なんだこれ?
随分と柔らかい……
むにゅむにゅ。
「んっ……」
視線を自分の手元に戻す。
ぼくの手は床ではなく、鳳さんの胸に置かれていた。
「え?」
男の胸ってこんなに柔らかかったっけ?
「~~~ッ! 早く退け!!」
「わぁっ!?」
いきなり鳳さんが腕を振るってきたのに驚き飛び退く。
パサリ、と何かが落ちた音が聞こえた気がしたが、今はそれどころではない。
「はぁ……。ん? まひる、お前それ……」
鳳さんが身体を起こし、少し朱に染まった顔でぼくを見ながら頭を指差す。
だけど、そんな事を気にしている余裕はもう無い。
ぼくの頭の中はある1つの事で一杯だった。
鳳さんは……もしかして……
「もしかして……」
「まさか、お前……」
「女の子……?」
「男……?」
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