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「まさか、こんな変態野郎がこの学園に通ってたなんてね」
「うぐっ」
鳳さんはぼくに女の子だとバレた時からさっきまでの男口調を止め、普通に喋っている。
そして、一言一言がぼくの胸に突き刺さる。
素になった鳳さんはとにかく、キツい性格だった。
「いや、でもこれには一応事情が……ですね」
「男が、女装して、学園に通う。これにどんな事情があるって言うの?」
なんとか弁明しようと口を開くも、鳳さんは聞く耳持たないといった風だった。
しかし、事情を話さない訳にもいかず恐る恐るとぼくは話し出した。
あれは、聖凛学園の入学式の1週間前だったろうか。
† † †
「まひる~、聖凛学園の制服届いたわよ~!」
「本当~っ? 判った、今行く~!」
母さんに呼ばれて二階の自室から一階のリビングに向かう。
聖凛学園の制服か~。制服の採寸とかは全部母さんがやってくれたからぼくは実際に制服を見た事がないから楽しみだな。
階段を駆け降りて下に降り、ドアを開けてリビングに入る。
「母さん、ぼくの制服は?」
「ほらっ、これよ~。まひるに良く似合いそうな“可愛い”制服よ」
そう言って母さんがぼくの目の前に満面の笑みで広げたのは、確かに可愛い聖凛学園の“女子”制服だった。
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