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「か、母さん! 早く学園に行こう!!」
「え? どうして?」
「だって、ぼくは男なのに学園の方には女の子って思われてるんだよ!? 本当に女の子の制服着て学園に通う訳にもいかないんだし、学園に事情を説明して誤解を解かないと……最悪、合格取り消しだって……」
せっかく色んな人に協力してもらってやっと合格したのに、こんな事で取り消しにされたら……うぅ。
「あら、それもそうね。母さん全然気づかなかったわ」
「全く……」
† † †
そして、すぐさま母さんと学園まで向かって、受付の人に学園長室まで案内され必死に事情を説明したところ、
「駄目ね」
ごくあっさりと、そう断言されてしまった。
「そ、そんな……どうして……」
「我が聖凛学園では毎年受験組で取る男女の人数は決めてあるのよ。もう男女共に枠は埋まってるし、貴方は既に女生徒として登録してあるから、今更女生徒の方の登録を消して男子生徒の方に変えるのは無理なのよ」
学園長は意外にも若く、綺麗な人だった。
見た目から判断するに年齢は20代後半。
艶やかで長い黒髪をしていて、黒いスーツを身に纏っている。
そんな学園長は、対面に座るぼくを見てそう言った。
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