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「そこを、どうにかできませんでしょうか?」
「残念ですが、それは無理です、お母様。決まりですので」
「それは、やはり男女の枠が既に埋まっている、からでしょうか」
「はい、そうです」
「だったら、まひるが女の子ならなんの問題も無いわけですよね?」
「? まあ、そうですが何を━━」
母さんと学園長が何か話しているが、いまいち耳に入ってこない。
せっかく、頑張って勉強して合格したのに……。
「なら、何の問題も無いですよ」
「━━ああ、そういう事ですか」
「?」
視線を感じて顔を上げてみると、学園長が何やら楽しげな表情でこちらを見ていた。
その表情はさっきまで見せていた大人の物ではなく、どこか子供っぽい。
はぁ……でも、これからどうしよう。
こんな時期じゃもう何処の高校にも入れないだろうし……高校浪人? それは嫌だなぁ……そうだ、通信っていうのも……あ、でもそもそも高校に通えるお金がないから学費がただになる聖凛学園の優秀枠を取った訳だし……。
働くしかないのかなぁ……でも、今時中卒を雇ってくれる所なんてないだろうし。
「まひる」
「まひるさん」
「ふえ?」
考え事中にいきなり母さんと学園長に同時に呼ばれ、驚いてなんだか変な声が出てしまった。
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