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「やったわね、まひる。合格の取り消しは無しだって」
「え、え?」
「貴方のお母様と話し合った結果、合格の取り消しは無しとしました」
「え……? 本当、ですか?」
一体、何がどうなって……そう言えば、さっきからずっと母さんと学園長が話してたような。
「本当です。ただし、条件があります」
学園長がまるでイタズラをする時の子供のような表情で言う。
「条件?」
「ええ。貴方には、女の子として我が学園に通ってもらいます」
「……はい?」
学園長が何を言っているのか理解出来ない。
「見れば、貴方は男だと言われない限りは女の子にしか見えない容姿をしていますからね。動作も男の子と言うよりは女の子に近いですし、そのまま女子制服を着て通ってもらうだけでそう簡単にはバレないでしょう。そうしてもらえば、男女の枠が既に埋まっているから男の貴方を学園に迎えられない、という問題はクリア出来ます」
「えぇっと……」
「良かったわね、まひる。これでこの学園に通えるわ!」
母さんが凄く喜んだ様子でぼくの肩に手を置いてきたが、気にしている場合ではない。
「しかし、念には念を入れて少し化粧も……ウィッグもあった方が良いかしら」
「あ、学園長先生。それは私がやりますから任せて下さい」
「そうですか。なら、ウィッグはなるべく良い物を用意しますから何か希望があれば言って下さい」
「そうですか? だったら……」
母さんが嬉々とした様子で学園長と話している。
ぼくは……いまいち状況が掴めずただ呆然としているしかなかった。
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