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† † †
「━━と、いう感じでぼくが口を挟む暇もなくどんどん話が進んでいって今に至る。って訳なんです……が」
うぅ……自分で思い出して自分で悲しくなってきた……。
鳳さんも凄く険しい顔してこっち見てるし……とてもじゃないが顔を直視出来ない。
「……あぁもうっ! 事情は大体判ったから顔上げなさい。そんな悲しそうな顔で俯かれてたらこっちが悪いみたいじゃない……」
「え?」
「一応、学園長とは知り合いだから悪ノリし出すと止まらない性格してるってのは知ってるから、そんな事になっちゃったのも少しは理解出来るし……それに」
「それに?」
「……そんな可愛い顔で悲しそうにされたら強く言えないじゃない。卑怯よ」
「え? 今なんて?」
声が小さくていまいち良く聞こえなかった。
「なんでもないわよっ」
「あ、はい……」
そんな怖い顔で睨まないで欲しい……。
どうしても身体が強張って何も言えなくなっちゃう……。
あぁ、気弱な自分が嫌になる。
「ほら、返すわ」
「あ……ありがとうございます」
鳳さんから受け取ったウィッグを受け取って被り直す。
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