一時間目・奇妙な2人

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「ん……ん? あれ?」 だけど、どうにも上手く被れない。 いつも母さん任せだったからなぁ……せめて鏡か何かがあれば良いんだけど、そんなの持ってないし……。 「ほっ、はっ」 こう? こうか? それともこっちか? やっぱり自分だと上手く被れないな……。 「はぁ……見てらんないわね」 「え?」 そんな風にぼくが悪戦苦闘していると、目の前から不意に鳳さんの手が伸びてきた。 当然、その分鳳さんの顔もぼくの顔に近付いてくる訳で、 「え、えっと、あの!?」 急に恥ずかしくなり、ぼくはみっともなく狼狽えてしまった。 「動かないで。上手くウィッグ被せられないでしょ」 「あ……」 そうか、ウィッグを被せてくれようとしてくれてるのか。 だったら大人しくしてないと失礼だよね。 ……とは言っても、鳳さんの顔が視界にちらついてどうにも落ち着かない。 近くで見ると、その顔立ちが良く判る。 特に、キリッとした少しつり目気味の目に宿る深い黒色の宝石のような綺麗な瞳に吸い込まれそうな気にもなる。 さっき、男の子して見た時は凛々しくて凄く格好良い人と思ったけど、こうして女の子として意識して見ると、素直に綺麗な人だと思える。
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