62人が本棚に入れています
本棚に追加
「はいっ、出来たわよ」
「あっ……」
鳳さんの顔が離れていく。
それに何故か心惜しさを感じて声が出てしまう。
「じゃあ、私はそろそろ帰るわ」
鳳さんが立ち上がる。
「帰るって……授業はまだありますよ?」
「私、実は3月の始めから昨日まで親の仕事で海外に行ってたのよ。で、今日の朝に帰って来て、学園長に用があったからこうして学園に来てたの。だから、私が学園に通うのは明日からなの」
「あ、そうなんですか」
鳳さんが少し早口でそう説明してくれた事に納得し、僕は頷く。
だけど、どうしても聞いておきたい事がまだ1つあった。
「でも、良いんですか?」
「なにが?」
「その、男がこんな格好して同じ学園に通ってて……」
「そうね……確かに、気にならないといえば嘘になるけど、あんたにその格好悪用して変な事するような度胸があるとは思えないし」
「はは……」
変な事って……確かにそんな事する度胸なんて無いけどさ。
「それになにより、よく考えてみれば私も似たようなもんだからね。人の事とやかく言える立場じゃないし」
あ、そういえばすっかり聞くの忘れてたけど、鳳さんが男の子の格好して学園に来てる理由ってなんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!