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「とにかく、あんたがなにかやらかさない限り、私は何も言わないわ」
そして、屋上の扉に手を掛けたところでまたこちらに振り返り、
「あ、あと、あんたの事は秘密にしといてあげるから、私が本当は女ってのも秘密ね」
鳳さんは人差し指をピンと立てて口元に当ててそう 言う。
「あ、はい。判りました」
「最後に、私達は同い年なんだから敬語は無し。判った?」
「はい。じゃ、なかった……うん、判った」
なんだか、鳳さんに敬語を使わないってくすぐったいな。
「じゃ、今度こそ。じゃあね。また縁があったら会いましょう」
最後にそう言い残し、今度こそ本当に鳳さんは屋上から出ていってしまった。
1人になった僕はなんとなく空を見上げた。
雲1つ無い、綺麗な青空だった。
鳳さんか……最初はキツイ性格した人だと思ったけど、ウィッグを被させてくれたりぼくの事秘密にしてくれたり、実は結構良い人なのかな?
さて、これからどうしよう?
まだ授業の途中だろうし、今は途中参加する気分でもないし……。
「あっ」
その時、ぼくはさっき買った━━というか奢ってもらったメロンパンと紅茶を思い出した。
お腹も空いたし、早く食べよう。
そして、メロンパンを口に頬張りながら思った。
結局、鳳さんが男の子の格好をしてる理由聞けなかったなぁ。
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