一時間目・奇妙な2人

22/37
前へ
/49ページ
次へ
「とにかく、あんたがなにかやらかさない限り、私は何も言わないわ」 そして、屋上の扉に手を掛けたところでまたこちらに振り返り、 「あ、あと、あんたの事は秘密にしといてあげるから、私が本当は女ってのも秘密ね」 鳳さんは人差し指をピンと立てて口元に当ててそう 言う。 「あ、はい。判りました」 「最後に、私達は同い年なんだから敬語は無し。判った?」 「はい。じゃ、なかった……うん、判った」 なんだか、鳳さんに敬語を使わないってくすぐったいな。 「じゃ、今度こそ。じゃあね。また縁があったら会いましょう」 最後にそう言い残し、今度こそ本当に鳳さんは屋上から出ていってしまった。 1人になった僕はなんとなく空を見上げた。 雲1つ無い、綺麗な青空だった。 鳳さんか……最初はキツイ性格した人だと思ったけど、ウィッグを被させてくれたりぼくの事秘密にしてくれたり、実は結構良い人なのかな? さて、これからどうしよう? まだ授業の途中だろうし、今は途中参加する気分でもないし……。 「あっ」 その時、ぼくはさっき買った━━というか奢ってもらったメロンパンと紅茶を思い出した。 お腹も空いたし、早く食べよう。 そして、メロンパンを口に頬張りながら思った。 結局、鳳さんが男の子の格好をしてる理由聞けなかったなぁ。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加