一時間目・奇妙な2人

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† † † 「あぁ……今日はいつもより疲れた……」 昼休みの出来事だけでいつも以上に疲れるには十分なのに、教室に戻ればエリや他のクラスメート五時間目に居なかった理由を散々聞かれ、担任の先生には五時間目をサボった事をこっぴどく怒られ罰掃除をやらされた。 エリは「手伝いますよ」と言ってくれたけど、ぼくの罰に付き合わせる訳にもいかず先に帰ってもらった。 そして、極めつけは……、 「どうした、まひる。せっかく久々に俺に会えたというのに、そんなフルマラソンを走った後のマラソン選手のように疲れきった顔をして」 こいつだ。 「……劉華に会ったのも今のぼくの状態の原因の1つだけどね」 この見た目にそぐわず妙に長ったるい喋り方をする男の名前は【三沢 劉華(みさわ りゅうか)】。 まるでラグビー選手のような体格をした大男で、髪型は茶髪に染めた角刈り。 だが、本人曰く「微妙に違う」から角刈りではないらしい。ぼくから見たら普通の角刈りにしか見えないけど。 ぼくの幼馴染みで、小学生の時から付き合いがある。 当然、ぼくが男だという事も知っている。 今日のお昼休みまではこの学園で学園長を除き、ぼくの秘密を知る唯一の人物だった。 「なぜだ、俺に会えなかったこの三日間、まひるの心の中で俺の存在は大きく膨らんでいた予定だったのに……!」 劉華はまるで舞台の俳優のように大袈裟な動きでその場にガックリと膝を付く。 「相変わらず幸せな頭してるね~、劉華」 不思議だ、まるで劉華の所にだけスポットライト当たっているような錯覚を覚える。
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