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「だけど、本当に会うのは久しぶりだよね。何してるの?」
いつもだったら呼ばれなくとも毎日ぼくの所に来ているのがこの男なのに。
三日間も会わないのは本当に珍しい事だった。
「バイトも出来る年になったからな。ほとんど毎日バイトして生活してるんだ、今は」
すぐに調子を取り戻した劉華と隣に並んで話しをしながら、聖凛学園の入り口でもあり出口でもある門まで続く桜並木の道を歩く。
「そんなに? なにか欲しい物でもあるの?」
「海外に行きたくてな」
「へえ、どこに行きたいの?」
「オランダ、ベルギー、スペイン、スウェーデン、カナダ、南アフリカのどれかだなだ」
「ふ~ん。結構行きたい所あるんだね。……海外かぁ、ぼくも行ってみたいかも」
日本以外の国って行った事ないから興味がある。
「安心しろ。俺が海外に渡る時はまひるも一緒だ」
「え? ぼくも連れて行ってくれるの?」
「当たり前だ。まひると結婚する為にわざわざ海外にまで行くんだからな」
「……え~と」
今、なにか理解不能な単語が聞こえた気がする。
「ちなみに、国の選別理由は?」
「同性婚が許されている事だ。さあ、一緒になるならどの国が良い!?」
「うん、一回死んでみようか」
清々しいまでに予想通りの答えだった。
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