一時間目・奇妙な2人

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春。 それは出逢いの季節。 新しい環境で、新しい人達と出逢い友達となる。 それはとても凄く素敵な事で、ぼくもまた、そんな思いを胸に秘めていた。 そして、そんな事を思いながらこの聖凛学園の門を━━とてもどんよりとした気分でくぐったのはもう何日前だったかろうか。 「まひるちゃん?」 この学園に通い始めて大体2週間。 大分学園生活にも慣れてきたな……そう思う自分が少し嫌になる。 「あの~……まひるちゃん?」 「あっ、な、なに?」 考え事をしていたせいか、肩を揺すられてやっと自分が呼ばれている事に気付いた。 「次、移動教室ですよ」 「え? ……あ、ほんとだ」 言われて教室を見回してみれば、すでに半数以上のクラスメイトは次の授業の教室に向かったようで既に居なかった。 「教えてくれてありがとう。少し考え事してたから気が付かなかった」 ニコッとふんわりと微笑んでぼくにそう教えてくれたこの子は【宮藤 エーリシャ】 ふわふわと雲みたいに柔らかそうな綺麗で長い金髪の持ち主で、顔立ちも人形みたいに整っていてとても綺麗な子だ。 名前と見た目の通り、アメリカ人と日本人との間に産まれたハーフらしい。 通い始めた当初、ある事情で少し暗い雰囲気だったぼくに最初に話し掛けてくれた子で、それがきっかけでお互いに話すようになり今では友達と呼べる関係になっている……と、思う。
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