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なんでこんな事になったんだろう……確かに、ぼくは背も小さいし身体は細いし声も高い。周りからよく女の子みたいに可愛い顔ねって良く言われるけど……。
やっぱり、あの母親に任せたのが悪かったのかなぁ……今更ながら激しく後悔。
「んっ」
また吐きそうになったため息をなんとか飲み込み我慢する。
これ以上エリに心配掛ける訳にはいかないしね。
そして、科学室に着いたぼく達はいつも通りに授業を受ける。
内容は難しいけど、まだなんとか付いていける。
科学の頭が痛くなるような授業が終わり、昼休みになった。
教室に戻り、鞄の中からお弁当を取ろうとするが……、
「あれ?」
鞄の中を漁ってみてもいつもの弁当箱は見付からない。
あ~、しまった。お弁当家に忘れてきちゃったよ。
今いくらあったかな……購買のパンっていくら位だろう。
「まひるちゃん、一緒にお弁当食べませんか?」
そんな事を考えていると、いつもみたいに小さなお弁当を持ったエリがぼくの所にやって来た。
「ごめん、エリ。ぼくお弁当忘れちゃったみたいで。僕は購買でパン買って食べるから、エリは他の友達と食べてて」
「そうですか……残念です」
エリが本当に残念な様子で顔を曇らせてしまう。
なにか言ってあげたいけど……どうにも上手い言葉が見付からない。
「本当にごめんね。また明日、一緒にご飯食べよ」
「……はい」
ぱっと思い付いた台詞だったけど、なんとか笑顔に戻ってくれたみたいだ。本当に良かった。やっぱりエリには笑顔が良く似合うな。
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