一時間目・奇妙な2人

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††† 購買でメロンパンとペットボトルの紅茶を1つずつ買って、胸に抱えたまま教室までの道のりを歩いて戻る。 それにしても購買は凄かったなぁ。ライブか何かのイベントがやってる時みたいに人で溢れ返ってて全然購買の前までいけないんだもん。 あの時たまたまクラスの男子が居て変わりにパンを買ってきてくれたから助かったけど、そうじゃなかったら何も買えなかっただろうな。しかも奢ってもらっちゃったし。 お金返そうと思ったら顔真っ赤にして帰っちゃったんだもんな。 ……悪い事したかなぁ? それにしても、このメロンパン凄く良い匂いだな~。揚げたてなのかな? 少し温かい。 早く食べたいな~。ぼくメロンパン大好きなんだよね、思わず顔がにやけちゃうよ。 「ふふっ」 「お? お前が比奈まひるか?」 「え?」 ウキウキ気分の所をいきなり話しかけられて少しビックリして振り返ると、そこには少し目付きが悪く体格の良い男の子がいた。 「そうだよな?」 「あ、はい。そうですけど……」 ちょっと恐い……昔からこういうタイプの人は苦手なんだよな。 「だよな! いや~、噂通りちっこくて可愛いね~」 急に楽し気な表情になって馴れ馴れしくぼくの頭を撫でてくる。 うう……昔からよくされるけどなんか嫌だな……この人はぼくの事を女の子だと思って頭撫でてる訳だし。 幸い、そこまで乱暴に撫でられてる訳じゃないからウィッグが取れる心配はないけど。
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