2話

3/7
前へ
/15ページ
次へ
学校のチャイムがなった。待ちに待った、昼食。 「よしっ!昼だ!早く、購買行こうぜ?」 「琢磨。…おい、起きろ?昼買いに行くぞ?」 優に、起こされて眠たい目を擦って立ち上がった。 『あぁ~。ねむてぇ…。』 あくびをして、伸びをした。 「琢磨は、寝ても寝ても足りないだろ?」 笑いながら、そう言う優。俺も笑った。 『和之は、食べても食べても足りないよな?』 そう言うと優も「確かに」と笑った。 「なんだと?」 『やべっ!逃げるぞ!』 優と俺は走りだした。後ろからは、巨体を揺らした和之が追い掛けてきていた。 ドンッ!! 『いってぇ…。』 誰かとぶつかってしまった。見ると…宮田瑠璃。 宮田瑠璃は、上半身だけ起き上がると腕を擦りながら顔を濁らせていた。 『ごめん。前見てなくて…。』 そう言って、起き上がると宮田瑠璃に手を差し出した。 『いいの。私もよく前を見てなかったから。』 俺の手を取ると、笑いながらそういった。宮田瑠璃の体は、俺がひょいっと起こすとふわっと持ち上がった。 そして、そのまま立ち去っていった。 「やっぱり…美人だな…。」 いつの間にか、和之が横に来てそういった。 「琢磨、大丈夫か?」 『ん?…あぁ。平気!』 優は、宮田瑠璃との会話を呆然と見ていて、心配そうに駆け寄ってきた。 これが…瑠璃との最初の出会いだった。廊下でぶつかっただけのありふれた出会い。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加