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学校のチャイムがなった。待ちに待った、昼食。
「よしっ!昼だ!早く、購買行こうぜ?」
「琢磨。…おい、起きろ?昼買いに行くぞ?」
優に、起こされて眠たい目を擦って立ち上がった。
『あぁ~。ねむてぇ…。』
あくびをして、伸びをした。
「琢磨は、寝ても寝ても足りないだろ?」
笑いながら、そう言う優。俺も笑った。
『和之は、食べても食べても足りないよな?』
そう言うと優も「確かに」と笑った。
「なんだと?」
『やべっ!逃げるぞ!』
優と俺は走りだした。後ろからは、巨体を揺らした和之が追い掛けてきていた。
ドンッ!!
『いってぇ…。』
誰かとぶつかってしまった。見ると…宮田瑠璃。
宮田瑠璃は、上半身だけ起き上がると腕を擦りながら顔を濁らせていた。
『ごめん。前見てなくて…。』
そう言って、起き上がると宮田瑠璃に手を差し出した。
『いいの。私もよく前を見てなかったから。』
俺の手を取ると、笑いながらそういった。宮田瑠璃の体は、俺がひょいっと起こすとふわっと持ち上がった。
そして、そのまま立ち去っていった。
「やっぱり…美人だな…。」
いつの間にか、和之が横に来てそういった。
「琢磨、大丈夫か?」
『ん?…あぁ。平気!』
優は、宮田瑠璃との会話を呆然と見ていて、心配そうに駆け寄ってきた。
これが…瑠璃との最初の出会いだった。廊下でぶつかっただけのありふれた出会い。
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