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購買には、人がうじゃうじゃいた。
「出遅れたか…琢磨が宮田瑠璃にぶつかったからだぞ?」
「そうだ、そうだ。」
2人が俺を睨む。
『だ、だいたい和之が追い掛けてきたから…。わかったよ!!ラムネおごればいんだろ!!』
2人は、してやったりの顔をしていた。
『ラムネ?…私も飲みたい!』
購買にいた皆が一瞬で黙り俺たちに視線を向ける。
『えっ…?』「「えっ…えぇー!!」」
『さっき廊下でぶつかったじゃない?だからおごってよ?いいでしょ?…ねっ?』
宮田瑠璃は、俺の腕を小さく掴みながら首を傾げていた。
『ねっ?って言われても…。』
困ったように、優と和之に助けの視線を送るが和之は宮田瑠璃に見とれているし、優は即座に目を反らした。ため息をついて、宮田瑠璃に視線を戻す。大きな瞳が俺だけを見ていた。
『…お、おごれないよ。』
『どうして?』
『だって…帰る方向逆だし。俺たち、チャリだし。』
『うーん…あっ!帰りは、本郷くんの自転車に乗せてよ?』
『えっ!…それはもっと困るよ…。』
『ラムネ飲んだら、大人しく帰るから。いいでしょ?お願い!』
尚も大きな瞳が俺に向けられる…。断るいい口実もなく…ぶつかったのには罪悪感もあり…。
『分かったよ…おごるよ、ラムネ。』
『やった!じゃあ、後でね?』
嬉しそうな笑顔を残して、居なくなった。
「なんで、俺じゃなくてお前なんだよ!」
『は?』
「和之は絶対に有り得ないことだが…あれは、無理矢理のデートの申し込みに聞こえたな…琢磨、お前宮田瑠璃に変なものでも食わせたんじゃないだろうな?」
『はぁ?うんなことするわけないだろ!だいたい、なんだよデートって!ただラムネおごるだけだろ!』
そのまま、足早に居なくなった。
「あっ、琢磨!…あいつどんだけ鈍感なんだよ。」
「ん?優、なんかいったか?」
「いや…なんでもない。ほら、行くぞ!…琢磨!琢磨!待てよ…おいてくなよ!おい!」
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