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「琢磨!久しぶりじゃん!元気にしてか?」
昔と変わらぬ笑顔で迎えてくれた時は、ほっとした。
『あぁ。優は?』
「俺?見ての通り元気だ!」
同窓会にいるみんなは、少し雰囲気の変わった人もいるが、制服を着ていた面影は残っていた。
「琢磨!やっときてくれたのか!!首を長くして待ってたんだぞ!」
『よぉ!!』
手を上げて、みんながいる所に腰を下ろした。
少し、遅くなったせいかみんなそれなりに出来上がっていた。
「琢磨~!お前は来るのが遅いッ!!全く、遅刻魔の琢磨のままだな!」
そういって、肩をたたくのは、少し太ってしまった和之。
苦笑いで、前に用意されたお酒を一口飲んだ。
「よしっ!ようやく、3年4組が揃ったな。」
優が嬉しそうにそういった。
優は、5年経った今でもあの時のままかわっていない。明らかに何かスポーツをやってそうな陽に焼けた顔。
「そうだな!優!ぜーいん揃ったんだ!!琢磨が来てくれて俺は嬉しいよ!」
和之は、お酒の入ったコップをテーブルに叩きつけて、そのまま眠ってしまった。
「和之…たくッ!しょーがないやつだな…。」
苦笑いで俺をみる優。
俺は、お酒をまた一口飲んだ。
「琢磨。お前、彼女いるのか?」
『…いないよ。』
グラスを見ながらそういった。優は、そうかと言うと眠った和之を叩いた。それでも、起きない。
俺は、静馬に嘘をついた。「“お前、1人としか付き合ったことないとか?”」
そうだ。俺にはこの23年間の人生の中で1人しか好きになってない。
俺にはたった一人大切な俺のすべてだった人がいたんだ…。
「よしッ!和之もこんなだし、そろそろお開きにするか!!」
優の一言でみんなが帰る支度をはじめ、バラバラと帰りはじめた。
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