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3人でよく来た浜辺を歩きながら話をした。
今日は、遅くなったあげくに和之が酔い潰れたので優の家にお邪魔することになった。俺は断ったが、優が久々にと言うから仕事も休みだからそうすることにした。
「琢磨。お前、まだ忘れられないのか?」
不意に優が口を開いた。
俺は、足を止めて優の背中を見た。和之を背負っていた優はこちらを見てまたゆっくり歩きだした。
「まだ、忘れられないか…。」
俺は、何もいわずにただ優の後ろを歩いた。
「ちょっと、休憩しよう。和之重いからさ。」
笑いながら、石垣に和之を寝かせ腰をおろした。
「ふぅ。おまえも、座れよ?」
そう言って、隣の地面を叩いた。俺は静かに隣に腰をおろした。
「瑠璃は、きっと…今でも美人だろうな。」
寂しい笑みを浮かべた。
「瑠璃がお前を好きだって知ったときはさ、みんなで変なものを食わされたとか言って騒いだもんだよな。」
それには、自然と顔が緩んだ。
『…そうだったな。』
海の音が聞こえる。暗くて深い闇に白い点をちりばめた景色を眺める。
あの時は、何もかもがキラキラしてたっけな。
「…お前が、忘れられない気持ちも分かる。…だけどよ…瑠璃はそんなお前の姿は見たくないと思ってるはずだ。もう5年経った。いや、お前にとってはまだ5年なのかもな。だけど、そろそろ…思い出だけの彼女にしがみつくの…やめてみてもいんじゃないか?もう、十分だ。彼女を放してやれ…お前から。彼女を忘れるんじゃなくて…放すだけだ。いつも想ってるんじゃなくて…たまに思い出すだけ。それで十分だよ。きっと…。」
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