転機

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季節は夏。ムカつくくらいに晴れ渡っている今日この頃。 しかし、一般的に学生と呼ばれる者達にはそんなことは関係ない。どんな天気だろうと、学校へ行き、勉強しなければならない。 もちろん、俺もその学生の一人。現在、教室で数学だかなんだかの授業を受けている。 「この計算は――」 だが、正直この暑さは辛い。汗がだらだらと滴り落ち、ノートに染みを作る。 これだけ暑いと授業に集中しろって方が無理な話だ。 「起きろバカ」 暑さに耐えきれなくなってきた俺は、特に意味もなく前の席でぐったりと机に突っ伏しているバカをどついて起こす。 「痛いっ! いきなりなにすんだよ!」 「涼しくしてくれ」 「いきなりどついて、しかも無理難題ですか!? 涼しくしろとか言われても俺にはどうしようもねぇよ!」 「あっそ」 俺の方を向き、大きな声で怒鳴るバカ。しかし、さっきも言ったように今は授業中。そんな騒いだりしたら―― 「おい杉田! 何騒いでんだ! 殺…説教されたいのかコラ!」 「ひぃぃぃ!? 今絶対殺すって言おうとしたぁぁ! そんですんませんでしたぁ!」 ま、当然こうなるわな、普通。
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