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第2話
「んっ」
マリアは、話かけてきた学を訝しげに見たが、黙って英字新聞の記事を指差した。
そこには、【キーラ=ナイグス】と、名前があった。
「この記事を書いたのは、私の【ママ】なの…」
マリアはそれだけ言って、顔をうつむけた、相手の反応を見るのが、嫌だったらしい。学は記事に目を通した。
「え~、何々、海外ボランティアの日本人。【母は強し!!】か。結構、インパクトあるね」
「本当に!?そう思う?」
マリアは学の腕を掴んで近づいた。
彼女の目は自分の母親を誉めてくれたことが、心の底から嬉しいと、語っている。
「お母さんが好きなんだね。マリアは」
「…うん。私はママの事を誇りに思う。いつか、私も、ママと同じ道を歩きたい!!」
「へぇ~。頑張ってね。マリア」
「うん!えっと…」
「桐山学【きりやままなぶ】だよ。《ガク》って、みんなから、呼ばれてる」
「じゃあ、ガク!!私の事は【マリー】でいいわ」
「分かった。それにしても、マリー。日本語上手いね」
「ママが【日本通】なの。お箸だって使えるわ」
「そっか。【日本食】で好きな物は?」
「【カレーライス】!!」
「それは、日本食じゃないよ」
学は、苦笑いした。
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