出会い

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第4(父親) 「んんっ!!」 背後で、咳払いがする。振り返ると、スーツ姿のガクの【父親】が、立っていた。 「…父さん…」 「学。後で、父さんの部屋に来なさい」 「…はい」 父親は、それだけ言って、着替えに向かった。 【父親の部屋】 「父さん。入るよ」 ガクが父親の部屋に入った。 「座りなさい」 部屋着に着替えた父が、椅子に座るように、促した。 「学。今年でいくつになる?」 「二十歳だけど?」 「そうか。なら、大丈夫だな」 父親はそう言うと、【二つのグラス】と【ウイスキー】を持ってきた。 「一緒に【飲まないか】?」 父親の誘いに、 「…飲むよ」 と、ガクは答えた。 『キンッ!』 グラス同士のあたる音が部屋に響いた。 「お前と、一緒に酒を飲む日が来るとは。早いものだな」 「【定年前】の身体なんだから、あまり、無理すんなよ」 「ふん。まだまだ、現役だよ。それより、学。コレを見なさい」 父親が英字新聞を一部取り出してテーブルに広げた。 【大文字の見出し】と、紙面の半分が【炎上した駅】の写真で占められていた。 「何だよ…これ」 「テロ事件だ…。部下が何人も巻き込まれた…」 父親は静かに告げた。
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