第0夜

2/15
61829人が本棚に入れています
本棚に追加
/1100ページ
「生きるのは苦しい」 そう僕が呟くと、ホストみたいな髪型をしている彼は大きく目を見開いて1度こちらを見たが、すぐに興味を失ったようにケータイの画面に目を移した。 「生きるのは苦しい。誰が言った言葉だっけ恒一?」 虚空を見つめながら僕は再度呟き、誰の名言だったか記憶のパズルを組み立てていると、隣でため息が聞こえた。 「そんな分かりきったこと誰の言葉だろうと興味はねぇよ」 せっかく組み上げていた記憶のパズルが崩れていく。 僕は眉をひそめて恒一の方を見た。 彼の名前を荒木恒一。 風貌はホストのような顔立ちで、普段は長い髪の毛をオールバックで固めてる。 こんなふざけた容姿なのに、一流企業に勤めてる事が納得がいかない。 まぁしかし一応信頼できる知り合いである事は確かである。
/1100ページ

最初のコメントを投稿しよう!