第21夜

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完全に心が落ち着くまで、そうしていたかった。 けれど、今度は違う意味で落ち着かなくなってきた。 これ以上彼女を抱きしめていると、彼女をこのまま押し倒してしまいそうな感じになってきたので、僕は唐突に彼女から離れた。 なんとなく顔を逸らしながら「いきなり抱きしめたりして、悪かった」と僕は謝る。 「あたし、龍ちゃんの彼女なんだから、別に謝らなくてもいいのに……」 「そうだよな。ごめんよ」 「また謝ってるし……」 絵理は口を尖らせながらそう言った後、噴き出すように笑った。 僕も釣られて少し笑顔になる。 「あたしじゃなくて、あのオバサンの方に謝ったら?」 「藤井さんに?」 「八つ当たりしちゃったんでしょ」 「そりゃあまぁ、そうだけど……」 「だったら、ちゃんと謝らないとね」
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