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「うっ……」
図星だった……。
リリーは……。
祖父が格闘家。
祖母が魔導士。
母が賢者。
父が剣士。
しかも皆、名が渡ったトップクラスの実力を持つ。
いわゆる『エリート』である。
リリーはその血を平等に受け継ぎどの分野もそつなくやり遂げる。
しかし……。
これといって得意分野がないのだ。
リリーの特権であり、コンプレックスでもある。
「その未熟さや甘さは命とりになるぞ」
モリスは頭をかきながら忠告する。
「まぁまぁ。
気をとりなおして狩りに行こうではないか!
じゃあね、おっちゃん!」
そう言ってムッとしてるリリーの手を引いてマールは狩りに出かけた。
モリスは『いつもの事だ』と思いニヤニヤしながら二人を見送った。
――近くの森――
ドサッ
マールは肉の塊を置いた。
その横に二人は腰を下ろした。
「ベアベアの肉沢山とれたな。
今日はごちそうだな!」
マールは嬉しそうに語る。
その横でリリーはむくれていた。
「まだむくれてんの?」
リリーの様子を見てマールは訪ねた。
「……マールはいいよなぁ。
弓術が得意で。
俺なんか何にもない……」
リリーは唐突に話だした。
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