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「……勇者は何かがずばぬけて得意とかそういうのはない。
だが勇者は仲間からの熱い信頼、そして優しさを得てないとなれないんだ。
勇者は英雄になるんだ!」
マールは熱く語る。
どんどんヒートアップしているようだ。
「あぁ、なら俺は無理無理!
優しくねぇし、信頼もねぇ!」
反面リリーは、はんって顔をして手をパタパタさせた。
「そうかなぁ~。
端から無理だ無理だなぁんて言うなよ。
俺に何の特技もねぇとか言ってるくらいならさ、勇者目指してみるのもいいんじゃないの?」
ニヤニヤしながらマールはリリーの肩を軽く叩いた。
「あのな、俺は勇者や英雄に興味はないんだ!」
リリーは手を使い大袈裟に否定した。
「お前には素質があると思うんだけどなぁ……。
絶対行けるって!」
そう言ってマールはにっと笑った。
「何を根拠に……。
勇者とか流行らないし」
プイッとそっぽを向くリリー。
「流行り廃りの問題じゃないぞ~」
リリーの言葉にマールはしかめっ面をした。
「……本気で言ってるのか?」
ジトーとした眼差しでリリーはマールを凝視した。
「ははっ!
冗談だって!
こんな平和なご時世に勇者だの、英雄だの必要ないもんな!」
ポンポン
呑気に笑いながらマールはリリーの頭をこずいて言った。
「俺もうちっと狩りしてくる……。
……気分転換も兼ねて」
そういうと納得のいかないリリーはムクリと立ち上がりマールを置いて森の中へ消えていった。
……━━
後々、この行為が後悔に繋がるなんてこの時は誰も予想しなかった……。
……━━
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