~プロローグ~

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*** 「風圧剣!」 ビュンビュン! リリーの振った剣の風圧が刃のように飛ぶ。 「ギャーッ!」 幾匹かいた熊型のモンスターが攻撃をくらいバタバタと倒れた。 「……七光りか。 畜生……」 リリーは自分の剣の柄をギュッと握りしめた。 ぎゃあ! ぎゃあ! いきなり烏が気味悪くざわめき始めた。 「ん? 何か妙な気配がする……。 一旦マールのとこに戻るか」 嫌な予感がしたリリーは狩りたてのベアベアの肉を引きずりながらもときた道を戻った。 「……血の匂い。 まさか……」 不安になったリリーは肉をほっぽり走り出した。 「!! マール!」 暫くしてリリーの目に変わり果てた姿をしたマールが飛び込んできた。 武器である弓は折れ、服は裂け体のあちこちからはおびただしい量の血が流れてる。 「……誰がこんな酷い事を」 血まみれのマールをリリーは抱え上げた。 「あ……。 リリー。 無事……だったのか。 よかった……」 リリーに気づきうっすらと目を開けたマールは力無く笑った。 「マール! 誰にやられたんだ!」 マールを抱きしめリリーは叫ぶ。 「それは……言えない」 マールはリリーから顔を背けた。 「何でだよ!」 マールをギュッと掴んだ。 「お前が悲しむ顔みたくないからな……」 そう言ってマールは一筋の涙を流した。 「マール!」 思わずリリーはマールを揺すった。 「俺はアイツに勝てなかった……。 俺が構えてる隙にもうアイツは……ぐっ……」 何かを言いかけてマールは気を失った。 「ヒール(他者回復)!」 リリーは傷ついたマールを抱き抱え回復魔法をかけた。 「……畜生。 俺の魔力では止血程度にしかならん。 早く戻ってばぁちゃんに治してもらわないと」 気を失ってるマールを抱えリリーは森を後にした。
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