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「風圧剣!」
ビュンビュン!
リリーの振った剣の風圧が刃のように飛ぶ。
「ギャーッ!」
幾匹かいた熊型のモンスターが攻撃をくらいバタバタと倒れた。
「……七光りか。
畜生……」
リリーは自分の剣の柄をギュッと握りしめた。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
いきなり烏が気味悪くざわめき始めた。
「ん?
何か妙な気配がする……。
一旦マールのとこに戻るか」
嫌な予感がしたリリーは狩りたてのベアベアの肉を引きずりながらもときた道を戻った。
「……血の匂い。
まさか……」
不安になったリリーは肉をほっぽり走り出した。
「!!
マール!」
暫くしてリリーの目に変わり果てた姿をしたマールが飛び込んできた。
武器である弓は折れ、服は裂け体のあちこちからはおびただしい量の血が流れてる。
「……誰がこんな酷い事を」
血まみれのマールをリリーは抱え上げた。
「あ……。
リリー。
無事……だったのか。
よかった……」
リリーに気づきうっすらと目を開けたマールは力無く笑った。
「マール!
誰にやられたんだ!」
マールを抱きしめリリーは叫ぶ。
「それは……言えない」
マールはリリーから顔を背けた。
「何でだよ!」
マールをギュッと掴んだ。
「お前が悲しむ顔みたくないからな……」
そう言ってマールは一筋の涙を流した。
「マール!」
思わずリリーはマールを揺すった。
「俺はアイツに勝てなかった……。
俺が構えてる隙にもうアイツは……ぐっ……」
何かを言いかけてマールは気を失った。
「ヒール(他者回復)!」
リリーは傷ついたマールを抱き抱え回復魔法をかけた。
「……畜生。
俺の魔力では止血程度にしかならん。
早く戻ってばぁちゃんに治してもらわないと」
気を失ってるマールを抱えリリーは森を後にした。
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