Prologue.Ⅰ

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俺がそう凄んでも男はたじろぐわけでもなく、それどころか笑う気配を見せる。 「おやおや、そんなに殺気だてんでもよいじゃろ?」 「っ、うるせぇ!人の領地に勝手に入ってきたのはそっちだろ」 もとより歓迎する気もなかったが、その言いようにむっとして俺はずかずかと詰め寄り胸ぐらに手を伸ばした。 年寄りに手を出すのは気が引けたが、正体がわからない奴なら構いやしない。 「やれやれ、仕方ないのぅ」 とはいえ、単に掴み上げ追い出すつもりだったのだが、そうぼやいた男は俺の手を躱し杖を振るう。 顔に向けられたそれを慌て腕で防ぎ、すぐに反撃にかかった。 やり返すなら叩きのめすまでと拳を振るうが、男はこちらの攻撃を見越したように軽々と避けられていく。
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